4極リレーは正確には「a接点リレー」と呼ばれ、車両の電装作業において最も重要な部品の一つです1。このリレーの基本構造を理解することが、安全で確実な配線作業の第一歩となります。
4極リレーは内部にコイルと接点という2つの主要部品を持っています3。コイルに電気が流れると磁力が発生し、その磁力で接点を動かすスイッチの役割を果たします。この仕組みにより、小さな電流で大きな電流を制御することが可能になります。
エーモン製の4極リレーでは、以下の配線色分けが標準的です。
この色分けは業界標準となっており、多くのメーカーで共通しています。配線作業では、この色分けを正確に理解することで配線ミスを防ぐことができます。
車両からの電源取り出しで最も注意すべきは、純正配線への過負荷です3。特に細線からの電源取り出しは、配線の許容電流を超えるリスクがあります。4極リレーを使用することで、このリスクを効果的に回避できます。
安全な接続手順は以下の通りです。
ステップ1:電源系統の確認
まず、常時電源と制御用電源を分けて考えます。赤線には太めの配線から取得した常時電源を接続し、青線には制御したい回路(例:スモール電源)を接続します3。
ステップ2:負荷系統の接続
黄色線に電装品を接続し、黒線を確実にボディアースします。この時、アース点の選択も重要で、塗装されていない金属部分を選ぶ必要があります。
ステップ3:動作確認
全ての配線が完了したら、必ず動作確認を行います。制御電源(青線)にテスター等で電圧を印加し、リレーの動作音(カチッという音)を確認してください。
この方法により、制御回路には最小限の電流(リレーコイル消費分のみ)しか流れないため、細線からの電源取り出しでも安全性が確保されます1。
手動スイッチと4極リレーを組み合わせることで、スイッチの容量制限を大幅に拡張できます1。この技術は、高容量の電装品を小容量のスイッチで制御したい場合に特に有効です。
組み合わせ配線の具体例
青線を延長し、その途中に手動スイッチを挿入します1。この構成により、スイッチには制御電流(通常1A以下)しか流れないため、小容量の装飾的なスイッチでも大容量の電装品を制御できます。
例えば、純正風のプッシュスイッチは通常5A程度の容量しかありませんが、4極リレーと組み合わせることで30A対応のエーモン3236リレーを使用すれば、最大30Aまでの電装品を制御可能になります1。
実際の配線手順
この方法は、LEDバーやフォグランプなど、大電流を消費する後付け電装品の制御に特に有効です。
現代の車両では、コンピューター制御が多用されているため、純正回路への影響を最小限に抑えることが重要です。4極リレーを使用することで、純正回路に影響を与えることなく、大容量の電装品を追加できます。
容量選択の指針
エーモン製リレーでは、以下の容量が選択可能です。
使用する電装品の消費電流に対して、20-30%の余裕を持った容量選択が推奨されます。例えば、15Aの電装品には20A対応の3235型を選択するのが適切です。
配線径の考慮
リレーの容量だけでなく、配線の許容電流も考慮する必要があります。一般的に、20A回路には2.0sq以上、30A回路には3.5sq以上の配線を使用してください。
4極リレーの不具合は、主に接点の劣化やコイルの断線によって発生します。定期的な点検と適切な診断により、トラブルを未然に防ぐことができます。
一般的なトラブルと対策
診断用テスター活用法
テスターを使用した診断では、以下の点を確認します。
車の電装作業における4極リレーの正しい理解と活用により、安全で信頼性の高い電装システムを構築できます。定期的なメンテナンスと適切な診断により、長期間にわたって安定した性能を維持することが可能です。
電装DIYに関する詳細な技術情報については、以下のリンクも参考になります。
電源取り出しのリスクを回避する4極リレー(a接点リレー)の使い方 - DIYLabo