30系ヴェルファイアの助手席側ヒューズボックスは、助手席足元のキックパネル内部に設置されています。従来の20系と比較して、アクセス性が向上しており、整備作業時の利便性が格段に向上しました。
助手席ヒューズボックスへのアクセス手順は以下の通りです。
注意すべき点として、30系では電子制御システムが高度化されているため、作業前にはバッテリーのマイナス端子を外すことを強く推奨します。また、ヒューズボックス内部には防水パッキンが施されているため、作業後は確実に元の状態に復旧させる必要があります。
助手席側には主に以下の電装品が接続されています。
運転席側ヒューズボックスは、ハンドル下部のパネル内に配置されており、主要な電源系統が集約されています。30系では従来の20系と比較して、ヒューズの種類と配置が大幅に変更されているため、作業前の確認が重要です。
運転席ヒューズボックスから取り出し可能な電源は以下の通りです。
常時電源(バッテリー直結)
ACC電源(アクセサリー連動)
イルミネーション電源
検電テスターを使用した通電確認では、ボディアースとして運転席ドアヒンジ部のボルトを使用することで、正確な測定が可能です。30系特有の電子制御システムでは、微弱電流でも誤作動を引き起こす可能性があるため、測定時は慎重な作業が求められます。
常時電源の取り出しは、ドライブレコーダーやセキュリティシステム、時計機能付きカーナビなど、車両停止中も稼働させる必要がある電装品に電力を供給するために行います。30系ヴェルファイアでは、低背ヒューズ対応のフリータイプヒューズ電源を使用することが重要です。
必要な工具と部品
作業手順
常時電源使用時の注意点として、バッテリー上がりのリスクがあります。消費電流の大きい機器を接続する場合は、タイマー機能付きリレーの使用を検討することで、バッテリー保護が可能です。
また、30系では盗難防止システムが高度化されているため、常時電源の取り出し後は、システムの再学習が必要な場合があります。作業後はディーラーでの診断確認を推奨します。
ACC電源は、エンジン始動時やアクセサリー使用時のみ通電する電源で、カーナビゲーション、オーディオ機器、ETC車載器などの取り付けに使用されます。30系ヴェルファイアでは、CAN通信システムとの干渉を避けるため、正確な配線手順を守ることが重要です。
ACC電源取り出し詳細手順
30系特有の注意点として、CAN通信システムへの影響があります。配線作業時にノイズが発生すると、エンジン制御やエアバッグシステムに誤作動を引き起こす可能性があります。そのため、配線には高品質なシールド線の使用を推奨します。
30系ヴェルファイアのヒューズボックス交換や電源取り出し作業では、従来の車種とは異なる特殊な注意点があります。これらは整備現場であまり知られていない重要なポイントです。
電子制御システムとの相互干渉対策
30系では、ヒューズボックス内の複数回路がCAN通信ネットワークで相互接続されています。一つのヒューズを交換するだけでも、他の電子制御ユニット(ECU)に影響を与える可能性があります。特に以下の症状に注意が必要です。
作業後の初期化手順
ヒューズ交換後は、以下の初期化作業が必要な場合があります。
長期保管時の配慮
電源取り出し後の車両を長期保管する場合、以下の点に注意が必要です。
保証対応との関係
30系ヴェルファイアでは、ヒューズボックスからの電源取り出しが原因で電子制御システムに不具合が生じた場合、メーカー保証の対象外となる可能性があります。作業記録の保管と、ディーラーとの事前相談を推奨します。
特に、ハイブリッドシステム関連の制御回路に影響が出た場合、修理費用が高額になる可能性があるため、作業前のリスク評価が重要です。
また、30系では盗難防止システム(イモビライザー)が高度化されており、電源取り出し作業後にキーの再登録が必要になる場合があります。この作業はディーラーでの専用診断機を使用した作業が必要で、費用は5,000円~10,000円程度かかることも覚えておくべきでしょう。
これらの注意点を理解した上で作業を行うことで、30系ヴェルファイアの電装品カスタマイズを安全かつ確実に実施することができます。整備のプロとして、常に最新の技術情報を把握し、適切な作業手順を守ることが重要です。