2色切り替えフォグランプの最も深刻なデメリットは、制御系統の不具合による誤作動です1。特に頻発するのが、左右のフォグランプで異なる色に点灯してしまう現象で、これは見た目の問題だけでなく、道路交通法上の問題も引き起こす可能性があります。
誤作動の主な原因は以下の通りです。
整備現場では、リセット機能付きの製品であっても完全に問題が解決されないケースが報告されています。特に安価な製品ほど制御回路の品質が低く、誤作動の頻度が高くなる傾向があります。
対処法としては、まず電圧測定による車両側の電源品質確認が重要です。また、バルブ交換時には必ず左右同時に行い、同一ロット番号の製品を使用することで不具合の発生率を下げることができます。
2色切り替えフォグランプの技術的な最大の欠陥は、光源位置の問題です。従来のハロゲンバルブは単一のフィラメントが光源となりますが、2色切り替えタイプでは白色LEDと黄色LEDの2つの光源を搭載する必要があります。
この構造上の制約により、以下の問題が発生します。
特に問題となるのは、白色と黄色で光源位置が物理的に異なることです。どちらか一方の色では適切な配光が得られても、もう一方では必ず配光が崩れるという根本的な矛盾があります。
IPFなどの大手メーカーでも、この問題の完全な解決は困難とされており、第二世代製品でも改善に限界があることが指摘されています。整備士としては、顧客に対してこの技術的制約を正確に説明する必要があります。
2色切り替えフォグランプの車検対応には、予想以上に多くのリスクが潜んでいます。保安基準では白または淡黄色のみが認められていますが、実際の車検では以下の問題が発生する可能性があります。
色温度の問題。
機能面での検査項目。
切り替え機能に関する規定。
車検時に2色切り替え機能が問題となることは少ないものの、白と青に切り替わるタイプは確実に不合格になります。また、切り替え時の動作不良により検査中にトラブルが発生すると、再検査が必要になる場合があります。
整備士としては、車検前の事前点検で切り替え動作の確認を徹底し、問題がある場合は早めの対処を顧客に提案することが重要です。
2色切り替えフォグランプの構造的な問題として、冷却性能の限界があります。特にH3タイプなどの小型バルブでは、この問題が顕著に現れます。
冷却性能の制約要因。
これらの制約により、以下の問題が発生します。
実際の整備現場では、2色切り替えフォグランプの平均寿命は単色LEDフォグランプの約半分程度という報告もあります。特に夏季の高温環境や長時間点灯での使用では、故障率が急激に上昇する傾向があります。
整備業界において見落とされがちなのが、2色切り替えフォグランプによる整備コストの増加です。従来の単色フォグランプと比較して、以下のような追加コストが発生します。
診断・点検コストの増加。
交換部品コストの問題。
トラブル対応コスト。
特に問題となるのは、故障原因の特定が困難なケースです。制御回路、LED素子、車両側配線のどこに問題があるのか判別が困難で、結果として複数回の部品交換が必要になることがあります。
整備業者としては、これらの追加コストを事前に顧客に説明し、理解を得ることが重要です。また、定期的なメンテナンス契約を提案することで、突発的な故障によるコスト負担を平準化できます。
2色切り替えフォグランプは一見便利な製品に見えますが、整備現場での実情を踏まえると、従来の単色LEDフォグランプの方が総合的なコストパフォーマンスに優れている場合が多いのが実情です。顧客への提案時には、これらのデメリットを正確に伝え、適切な判断材料を提供することが整備士の責務と言えるでしょう。