1din小物入れは、カーオーディオの標準規格である1DINサイズ(約W172×D126×H49mm)に対応した収納ボックスです。この規格サイズにより、ほぼすべての車種のオーディオスペースに適合します。
市場で販売されている1din小物入れには、以下のような種類があります。
材質はABS樹脂が主流で、純正インテリアにマッチする艶消しブラック仕上げが一般的です。付属品として、タッピングネジ(5×10mm)、皿タッピングネジ、隙間テープが含まれており、取り付けに必要な部品が揃っています。
整備現場では、小物入れのサイズ選択が重要です。CD・ブルーレイディスクケース、携帯電話、小型工具類の収納を考慮し、内部容量を事前に確認することをお勧めします。特に、奥行き126mmという寸法は、標準的なCDケースがぴったり収まるよう設計されています。
現代の車両では、スマートフォンやカーナビの普及により、従来のオーディオスペースが空いているケースが増加しています。この空きスペースを1din小物入れで有効活用することで、車内の収納力を大幅に向上させることができます。
具体的な活用方法:
整備業従事者の視点では、顧客の車両に1din小物入れを提案する際のポイントがあります。特に、オーディオレス車両や古いオーディオを取り外した車両では、1DINスペースが複数空いている場合があります。この際、上下に2つの小物入れを設置することで、用途別の整理が可能になります。
また、DINポケットの空きスペースには、オプションパーツとして別売りされているモールシステム対応の仕切り板やホルダー類を組み合わせることで、より細かな整理が実現できます。これにより、顧客満足度の向上と追加売上の創出が期待できます。
1din小物入れの取り付けは比較的簡単ですが、確実な固定と美しい仕上がりのためには、いくつかの重要なポイントがあります。
取り付け前の確認事項:
取り付け手順とコツ:
整備現場でよくある失敗例として、隙間テープの貼り方があります。テープが厚すぎると挿入困難になり、薄すぎるとがたつきの原因となります。最適な厚さは、軽い圧力で挿入できる程度の調整が必要です。
また、ワイドDINタイプの車両に取り付ける場合は、別途専用ブラケットが必要になります。この点を見落とすと、取り付け不可能となるため、事前の確認が不可欠です。
配線処理については、オーディオ撤去時に残った配線を適切に処理し、小物入れ内部に配線が露出しないよう注意が必要です。特に、電源線やスピーカー線は絶縁処理を施し、ショート事故を防止することが重要です。
1din小物入れの選択において、価格帯による機能や品質の違いを理解することは、顧客に最適な製品を提案するために重要です。
エントリークラス(659円~999円)
ミドルクラス(1,498円~2,198円)
ハイエンドクラス(3,000円以上)
選択指針:
顧客の使用頻度と求める機能によって、最適な価格帯を提案することが重要です。例えば、高齢者には操作が簡単なエントリークラス、ビジネス利用者には多機能なハイエンドクラスが適しています。
また、整備業者としては、アフターサービスの観点から、国内メーカー製品(日本製または国内代理店経由)を優先的に提案することで、不具合時の対応がスムーズになります。
価格差の主な要因は、使用樹脂の品質、金型精度、表面処理の違いにあります。安価な製品でも基本機能に問題はありませんが、経年劣化による変色や変形のリスクが高くなります。
整備現場において、1din小物入れは単なる収納ボックス以上の価値を発揮します。プロの整備士ならではの独創的な活用方法をご紹介します。
工具管理システムとしての活用:
多くの整備現場では、細かな部品や工具の管理に苦労しています。1din小物入れを工具車に複数設置し、作業内容別に工具を分類収納することで、作業効率が大幅に向上します。
顧客サービス向上ツールとして:
待合室に設置した1din小物入れを活用し、顧客向けの簡易サービスステーションとして利用する事例があります。
部品在庫管理での応用:
小型部品の在庫管理において、1din小物入れのサイズが非常に有効です。透明な仕切り板を追加することで、部品番号別の整理が可能になります。
特に、ディーラー系整備工場では、純正部品の小物類(クリップ、ゴムパッキン、小型センサー等)の管理に活用し、在庫の見える化と作業時間短縮を実現している事例があります。
研修・教育ツールとしての利用:
新人整備士の教育において、1din小物入れを使った「故障診断キット」を作成する工場が増えています。よくある故障の原因となる部品サンプルを収納し、実物を使った教育ツールとして活用することで、理解度の向上が期待できます。
これらの活用方法は、従来の発想を超えた1din小物入れの可能性を示しており、整備現場の効率化と顧客満足度向上に大きく貢献します。単なる収納ボックスとしてではなく、業務改善ツールとして捉えることで、投資対効果の高い設備となるでしょう。